創立80余年の女子校は、
時代の風をとらえて
進化を続ける。
東京女子学院 中学校・高等学校
2021年に創立85周年を迎える東京女子学院中学校・高等学校(以下、東京女子学院)は、少人数制で、生徒一人ひとりを学校全体でサポートしている。さらに伝統を大切にしながら、グローバル社会に対応する人材育成を実現するべく、施設・カリキュラムのリニューアルに取り組んでいるのも特徴だ。
2018年に、体操服のリニューアルでアディダスを採用して以降、ラインナップが増えただけでなく、コロナ禍の対応として「NO採寸」システムも取り入れた。その経緯を取材して感じたのは、現場の声を尊重する信頼関係と、良いものはすぐに取り入れる先取性だった。
最新モデルのウィンドブレーカーは
驚きの軽さで抜群の保温性を発揮。
東京女子学院がアディダス スクールカテゴリーを採用したのは2018年。
当初は、ジャージ上下、半袖Tシャツ、ハーフパンツ、外履きと中履きのシューズ。その後、日光アレルギー対策、寒さ対策として長袖Tシャツも採用されたが、2020年からは全国の学校に先駆けて、最新モデルのウィンドブレーカーもラインナップに加わった。ウィンドブレーカー採用に際しては、ここ最近の首都圏の冬の厳しい寒さが影響しているようだ。
京都出身の行天先生にお話を伺った。「京都の厳しい冬に慣れていてもなお寒いと感じます。運動をスタートして身体が温かくなるまでにも時間がかかるし、冷えで動きが鈍くなるとケガに繋がる危険性もあります。防寒対策としてウィンドブレーカーの必要性を感じました」とのこと。
この話をADSSの営業担当者にしていた時期と、アディダスのウィンドブレーカーの新モデル登場の時期が重なった。
「上層部にウィンドブレーカーの必要性を説明すると、それならば、とすぐに話が進みました」。
タイミングを逃さない瞬発力と、現場の声に重きをおいた現場力を大切にする学校の経営方針が垣間見られるエピソードだ。
実際、ウィンドブレーカーの評価はどうだろうか。「軽くて薄いのに風を通さない。何よりこの裏地の肌あたりがいいんです」と行天先生。ポリエステル100%で、起毛裏地を付けたウィンドブレーカーは軽く、風を通さない。
裏地のトリコットは、柔らかな風合いで伸縮性に優れさまざまな動きに対応する。多孔性もあるため、身体から発せられた熱を発散することも高評価のようだ。
ウィンドブレーカーに限らず、アディダスの体操服の評価をうかがったところ、「運動場でも体育館でも、映(ば)える体操服」という言葉をいただいた。年齢的に生徒に近い、若い世代の先生からこの言葉をいただいたことは、アディダスのデザイン性はSNSに親しんでいる世代からも支持されているひとつの証といえるだろう。
制服の次によく着る体操服に
生徒の関心が集まるのは自然なこと。
鈴木先生が東京女子学院に赴任したのはアディダスが採用されて2年目の2019年。まず、学校の体操服がアディダスということに驚いた。
「ジャージは制服の次によく着るモノだから、生徒の関心も強いと思います」と話してくださった。入学説明会で「体操服がアディダス」と紹介できるのは、アディダスブランドに憧れを持つ入学希望者と保護者へのアピールになるだろうと。
東京女子学院では、2020年度からバレーボール部、ダンス部、テニス部、水泳部を強化クラブとし、スポーツ特待生を受け入れている。少数制が特徴のひとつである学校にとって、優秀なアスリートの存在は、学校全体のスポーツ能力向上の底上げに大きく貢献するはずだ。
「一般の生徒にとってだけでなく、常に記録を気にしないといけないアスリートである生徒にとっても、機能性に優れたアディダスの体操服は魅力的だと思います」とのこと。彼女たちは記録を追っているので、スポーツウェアの機能性にも敏感ということだろう。
実際、クラブ活動では競技の特性に合わせて最大のパフォーマンスを発揮するようクラブジャージを使用しているが、新入生の場合、クラブジャージが手元に届くまでは体操服を着用している。クラブジャージを持っている生徒も、練習着としてアディダスの体操服を活用することもある。汗をかいてもサラサラで肌にもまとわりつかないアディダスの体操服なら、クラブ活動にも対応できるからだという。
次にアディダスの体操服にしたことで、指導面での影響があるかを伺ったところ、東京女子学院が採用しているウィメンズシルエットについて話が及んだ。ウィメンズシルエットは女子専用に開発され、女性の身体に合わせて8サイズを展開している。フィット感を大切にしているためだ。また、ジャージの脇には色の切り替えが施され、細身に見える効果があり、裾が若干広がっているジャージパンツは足長効果を発揮している。
「そのまま着るのが一番スマートに見えることをわかっているためか、わざとダボダボにするなど着崩す生徒はいません」と鈴木先生はうれしそうだった。
自宅で採寸、ネットで注文。
コロナ禍に真価を発揮した「NO採寸」。
ADSSでは自宅で採寸でき、ネットで注文できる「NO採寸」システムを2020年から採用している。
入試の合格発表から入学式までのわずかな時間で、採寸から納品までをカバーするために生まれた新システムだ。
そもそもは遠距離から通う生徒が多く、入学準備期間に生徒を一同に集めることが難しい状況にある学校での対策がきっかけで開発されたのだが、奇しくもこのコロナ禍において、真価を発揮することとなった。
東京女子学院ではどのような経緯で「NO採寸」を採用したのだろうか。行天先生にお話を伺ったところ、「NO採寸」についてADSSの営業担当から話を聞き、便利そうなシステムだと興味を持った矢先に、日本全国に新型コロナウイルス感染拡大のニュースが駆け巡った。
「入学準備説明会で3密を避けるため、採寸会場は制服の採寸だけにしたいと教務課から要望があったとき、『NO採寸で行こう』と迷いはなかった」ときっぱり。すぐさま上層部に相談し、上層部の素早い決断で2020年度の体操服は「NO採寸」となったのだ。
そのため、入学準備説明会当日、会場ではソーシャルディスタンスを十分にとることができ、学校のコロナ対策も万全なものとなった。「体操服の採寸は生徒と保護者が自宅で行うことになりましたが、実際のところ、納品後のサイズの交換はほとんどありませんでした」とのこと。
毎年4月は、新入生受け入れのために学校の教職員が煩雑な業務に追われる時期。アディダスの体操服は、もともと生徒・保護者とADSSが体操服の販売について直接やりとりができるダイレクトコミュニケーションであるが、今回、採寸業務の大幅削減を実現する「NO採寸」が採用されたことにより、教職員の負担削減に役立つことができているのでは、との感想を持った。
withコロナ時代の新しい生活様式のひとつとして、「NO採寸」は今後ますます注目されることだろう。
カタチの良い体操服は、
生徒のやる気を後押ししてくれる。
2018年、校舎・制服のリニューアルに合わせて体操服のリニューアルも行われたが、体操服の採用については、保健体育科が検討した。生徒を指導する立場として、体操服に必要とされる材質や機能性は保健体育科の教員が一番よくわかっている、との判断だったのだろう。
採用されたアディダスの体操服に対する印象について教頭の小林先生に伺ったところ、「生徒みんながアスリートのように見えますね」との言葉をいただいた。
前述の鈴木先生のお話にあったように、ウィメンズシルエットの体操服は女性の身体の曲線をいかし、スッキリとみせることができるので、身につけた生徒がそう見えるのも納得だ。東京女子学院が採用した紺色と白色のコーディネートについては、制服が黒いセーラー服から紺色のブレザーに変わったことに合わせた結果だという。
「アディダスの体操服は制服に似たような色合いで、派手すぎず、品良く目立ついい色だと思います」とのこと。続いて、生徒・保護者からの感想はというと、「体操服に対するクレームがない、ということは、気に入ってもらっているということだと思います」とのこと。
また、本物志向を持つ東京女子学院としては、世界ブランドであるアディダスを採用したことは「生徒が良いモノを見る、本物に触れることで、感性を磨くベースとなる」とのこと。体操服の持つ意義について、小林先生は「カタチは心をすすめる」という言葉を例に出して話してくれた。
「カタチの良い体操服は、生徒のやる気を後押ししてくれる。体育の時間が楽しくなる。それがひいては健康増進にもつながるのではないでしょうか」。一人ひとりがアスリートらしいカタチを身につけることは、生徒の学生生活だけでなく、その後の人生の基盤を作る「健康」にも影響を与えるものなのだと、新しい視点をいただいた。
自分なりのペースで自分らしさを磨く。
自主性のある女性として生きぬく力を。
私は2018年度より公立の中学校から本校に赴任しました。同じ“学校”であっても公立と私立には様々な違いがあります。
ひとつには、生徒・保護者の皆様が私学を選択する背景には、それぞれのさまざまな想いがあること。「より恵まれた環境で学ばせたい」「留学などでグローバルな視野を身につけたい」「安心できる環境で過ごしたい」・・・。私たちは、生徒・保護者のこうした想いを大切にし、学校全体で一人ひとりをサポートすることが大切だと考えています。
次に、女子校であるということ。最近では近隣の多くの学校が男女共学校になっていますが、本校は女子校でがんばります。男子がいない学校生活は、女子が自分の素を出しやすい。例えば、泳ぎの練習をする時、足のつくプールで練習すると、苦しくなったら足をついていいと思えるから怖くない、余裕も生まれる。だからこそ、自然に悠々と泳げるようになっていくものです。
このように、女子校で学ぶ生徒たちは、学校で無理に背伸びをすることなく、自分なりのペースで自分らしく、自己肯定感をもって成長することができると思います。
さて、本校では体操服にアディダスを採用しています。アディダスを着ている生徒達は、ハツラツとして元気に見えます。スマート、スタイリッシュとも言えますが、「言葉にならない素敵さ」があると思います。
体操服はデザイン性だけでなく、機能性も重要です。私には長年のマラソン経験でいろんな靴を履いた上で、「マラソンの時にはこれしか履かない!」というシューズがあります。生徒たちはアディダスの体操服を着ることで、デザイン性・機能性に優れた体操服がどういうものかを体感します。本物を知る経験があれば、将来自分が信頼するウェアを自分で見定める力が養われます。
ウェア選びだけでなく、どんな局面でも主体性を発揮して生き抜く力をつけ、卒業後はさまざまなステージに希望をもって羽ばたいてほしいと思います。
明るく楽しく元気な毎日を過ごし、
グローバル社会で個性を発揮してほしい。
本校は、2021年に創立85年を迎える歴史ある学校です。脈々と受け継がれてきた伝統を生かしつつ、現代社会の変化に対応するため、ここ数年、環境作りに取り組んできました。
エントランスは白を基調とした開放的な空間となり、食堂は「桜カフェ」と名前を変え、テラスを設けて自然光を取り入れた憩いの空間として蘇りました。「フォレスト」と呼ばれる図書室には、大木に見立てた本棚があり、まさに知識と学習の森の中で、生徒たちは朝や放課後の学習支援、自習など多目的に過ごしています。
このように現在の女子生徒が好むイメージを大切にしたリフォームを行いながら、廊下や階段、扉や壁などの内装に「木」を使用し、木のぬくもり、手触りに「懐かしい学び舎」のようなあたたかさえを感じ取っていただけるのも特徴です。
そして、本校では伝統ある女子校ならではの礼儀作法といった情操教育はもちろん、新しくなった充実した設備の下で、生徒一人ひとりが楽しくわいわいと日々を送り、自分自身の可能性をひろげることができるよう、グローバル教育・ICT教育を展開しています。
将来的にグローバルな世界で活躍し、世界に貢献するためには、英語+第二外国語(中国語・フランス語)のスキルを磨くだけでは十分ではありません。本校から海外への留学制度はもちろん、2021年度からはフィリピンの留学生の受け入れも行い、真の国際交流を実現しています。
さらに、バレーボール部、ダンス部、テニス部、水泳部の4つを『強化クラブ』に指定し、スポーツ特待生制度も設けました。アスリートである彼女たちが、本校にさらなる活気をもたらしてくれることは間違いありません。理事長室からは、緑鮮やかな人工芝の運動場が見え、アディダスの体操服に身を包んだ生徒たちが生き生きと運動している様子がよくわかります。
今後ますますグローバル化のすすむ世界に対応できる人材となるよう本校で、明るく楽しく元気に過ごし、自分自身の可能性を思い切り伸ばしてほしいと思います。