アディダスの体操服導入から10年。
ブランディングを深化させる伝統校。
大阪電気通信大学高等学校
大阪電気通信大学高等学校(以下、電通高校)は、2020年、学園として80周年を迎える。
前身の東亜電気通信工学校が全国初の電気通信専門の学校として誕生して以来、時代の進展と変化に対応し続けている。
来年度からは併設されている大阪電気通信大学との連携をより強化するための教育課程の編成にも取り組み、ICTを強みに最先端テクノロジーに長けた人材の育成に努めているのが特徴だ。
歴史ある電通高校がアディダスの体操服を導入してから10年。数年ごとのマイナーチェンジを重ねながら、「電通高校はアディダス」というイメージを大切に育み、ブランディングを深化させている様子をリポートする。
圧倒的支持でアディダスに決定。
生徒が選んだ「一番着たい体操服」。
ご自身が電通高校の卒業生であり、7年半のサラリーマン生活を経て母校で教職についた唐原先生に、アディダス導入のいきさつを伺った。
先生の着任は2009年だが、「体操服は自分が高校生の時から変わっていなかった」。襟付きのジャージで生地も分厚く、胸の大きなゼッケンに名前も書かれていたため、校外での着用を恥ずかしがる生徒も多かった。OBとして生徒の気持ちが痛いほどわかる先生は、「着任して一番に体操服のリニューアルを考えた。やってやるぞ!」と、すぐに動いた。
メーカー4社に新体操服の提案を依頼し、体育科で検討したが、「大人が選ぶと子どもからかっこ悪いと言われるものを選ぶかもしれない。子どもの目で一番着たいものを選ばせよう」と、生徒100名ほどをランダムに選んで投票を実施。結果は約98%がアディダスだった。
体操服の細部を詰める際には、「新体操服のコンセプトは『卒業してからも使える体操服』。ADSSさんには、このことを頭に入れてデザインしてくださいとお願いしました」。そのため学校名や名前は小さく、学年を示すラインは色鮮やかに。「明るい色を着ることで、生徒には明るい気持ちになってほしくて」と、少し照れる。
アディダスの機能性について「速乾性」に注目したことにも理由があった。それは、「リニューアルによって、保護者の方にも喜んでいただきたい」という思い。以前の体操服については「乾きにくい」という意見が耳に届いていた。速乾性に優れた体操服なら毎日の洗濯も楽で、子どもは常にキレイな状態の体操服で運動できる。保護者にとって何よりのうれしいことだろう。
また、電通高校では、数年おきにマイナーチェンジをしているのが特徴だ。まず、女子生徒の透け感を解消するためもありTシャツを白から紺に変更した。2017年にはハーフパンツの素材を薄くて軽いものにした。さらに2020年からは胸元に学園のシンボルマークがプリントされる。
「新しいモノが出たら教えてくださいと、ADSSさんに伝えています」と言う唐原先生。「新しいものは機能性も優れている。その方が保護者にも生徒にも喜んでもらえるかなと思っています」。唐原先生の真摯な思いは、「10年にわたり、一切クレームがない」という結果に繋がっているようだ。
「アディダスでいいやん。おしゃれやし」。
万博記念競技場に体操服で集合する生徒たち。
体操服を着た生徒たちが主役となる一番大きな行事は、毎年5~6月にある陸上競技大会。基本は万博記念競技場で行われ、年によってはヤンマースタジアム長居の場合もあるが、いずれも広大な競技場で、走種目を主体としたトラック競技と、走り幅跳び、砲丸投げといったフィールド競技を学年別クラス対抗で行う本格的なもの。1,000人近くの生徒と、保護者200~300人が集う一大イベントだ。
体育科主任で、元プロバスケット選手(bjリーグ)の太田先生にお話を伺った。
大会当日は自宅から直接競技場に向かうので、生徒には制服か体操服、どちらで移動してもいいと指導しているが、「以前はみんな制服で集合して現地で着替えていました。アディダス導入後はほぼ全員アディダス。生徒は『アディダスでいいやん、おしゃれやし』と言ってます」。
競技場では、赤いトラックと緑の芝にアディダスの紺地が映える。「見栄えがキレイだし、各学年別の色もはっきりと見えやすい。季節柄、生徒は半袖Tシャツ・短パンですが、風通しも良く、動きやすい。生徒たちは汗をかいたら脱いで干してます。すぐに乾くから快適でしょう」とのこと。
日常で体操服が登場する例としては、普通科の健康スポーツコースについて教えてくれた。
2年生から週1回1日3時間の水泳実習のために、近隣の屋内プールまで約20分の道のりをアディダスを着て歩く。健康スポーツコースには「スポーツをやってきたから、今度はアスリートを支える側になりたい」との志を持つ生徒が多いという。
誰かの役に立つために専門分野を極める。崇高な目標を持つ生徒たちが、誇りを持ってアディダスを着用している凛々しい姿が浮かんだ。
以前は卒業式後に数多くの体操服が学校に放置されていたが、今はゼロというエピソードも生徒がアディダスを大切にしている証。「専門学校や大学に進んだ子も、実習や体育の授業でアディダスを着てくれていると思います」と、太田先生の口調はうれしそうだった
他校に交じっても断然目立つ。
柔道部はオールアディダスで遠征に。
電通高校では、クラブウェアもアディダスにする部が増えているという。今回お話を伺った松本先生が顧問を務める柔道部もそのひとつだ。
クラブジャージをつくろうと言い出したのが2年前。当時20名ほどの部員にアンケートをとったところ、「みんなアディダスがいいと。学校の体操服がかっこいいと思っていたからかな」と松本先生は振り返る。
「クラブウェアを作ってからは、遠征時、生徒は制服を着なくていいので移動がラク。いろんな学校が集まる公式戦では、他校のウェアに交じってもうちの黒とブルーのベースにイエローラインジャージは目立つので私も生徒を見つけやすい。『あのおしゃれなウェア、バスケ部ちゃうか?』という褒め言葉もいただきます」と笑う。
特に部活用ウェアのポロシャツとベージュのハーフパンツの組み合わせは、かなり珍しいらしく、「あれどこのメーカー?あ、3本ラインはいってるわ」と、アディダスであることが品よく目立っているという。
柔道部ではリュックもアディダス。足元は学校のグラウンドシューズであるアディダスを履いて、クラブウェアもアディダスとくれば、「柔道部はオールアディダス!」と松本先生。
他の部にもアディダスのクラブウェアが広がっている様子を、「アディダスが生徒に溶け込んでいる感じ」と、表現してくれたことも印象的だった。
部活での早朝トレーニング時には、体操服を着ている生徒も多いので、その評価を聞いてみた。先生が注目されたのは、2017年にリニューアルしたハーフパンツ。
生地がシャカシャカして軽い素材に変わった。「軽くて薄いのに身体にピタッとはりつくことがないので、違和感がなく着やすい」とのこと。実はこのハーフパンツ、お尻まわりのカッティングに工夫が施され、足を上げやすい設計になっているので可動域が広いのだ。
さて、柔道部には身体の大きい部員がいるが、サイズの問題はないのだろうか?
「現在一番大きい生徒は7XО。アディダスなら通常規格以上のサイズ展開ができるので安心」とのこと。体操服のサイズと連動しているのも発注の際、効率的のようだ。
自分の興味関心を大きく膨らませ
将来の夢をつかみ取ってほしい。
本校では、時代の変化に応え、より専門的な力を高めるために2020年度より教育課程を編成します。普通科には「アドバンスコース(選抜)」「進学総合コース」「メディア情報コース」「健康スポーツコース」を設け、電子工学科を工学科と改称して「理数コース」「工学連携コース」を設置。選択コースとして「ロボット機械コース」「IoT情報通信コース」「医療電子コース」「デジタルゲーム開発コース」を用意します。
本校を設置する学校法人は大阪電気通信大学を併設している強みを生かした編成で、高大連携がより強化されることになります。
中学生が進路をみつけるのは難しい。「将来、何をしたい?」と聞いても「わからない」と答えるのが大半です。しかし、「いま何が好き?」と聞くと、「ゲームが好き!」「ゲームってどうやって動いているかわかる?」「気になる」「じゃあ、作ることを考えてみたら?」という会話が生まれます。
本校ならば高校で基礎力をつけ、卒業後、大阪電気通信大学のスタジオでゲームを制作できる。夢を想像で終わらせないのが、7年間を見据えた教育の強みだと思っています。現在、女子生徒は30名に足らないほどですが、みんな専門性を活かした進路へと進んでいます。今後は情報通信の分野に興味を持つ女子が増えることを見込み、女子がより快適なスクールライフを送ることができるよう、環境も整えています。
また、来年度、前身の東亜電気通信工学校から数えて創立80周年を迎えるにあたり、学園のシンボルマークと、「つなぐ知 かなえる技」というタグラインも設定しました。
アディダスの体操服を導入して10年になりますが、今回のリニューアルでは、胸元にシンボルマークをプリントすることになりました。アディダスは耐久性のあるしっかりとした作りで、体育の授業だけでなくクラブウェアとしても使用され、卒業生も愛用しているようです。これから先も、生徒たちはアディダスの体操服を「我々のウェア」という誇りを持って着用してくれることでしょう。