135年の伝統と流行が
やさしく共存する学び舎
宮城学院中学校高等学校
今から135年前、福音主義キリスト教に基づき、アメリカ人宣教師によって設立された宮城学院中学校高等学校(以下、宮城学院)は、東北で最も古い歴史を有する女子校として、仙台の女子教育に多大な影響を与えてきた。。
宮城学院女子大学に併設するキャンパスには緑の芝生が広がり、レンガ造りの校舎、建築美が印象的な体育館に屋内プール、校内のチャペルなど、まるで海外のキャンパスを思わせる。現在は、英語教育、音楽教育、国際理解を教育の三本柱とし、ICT教育にも対応しながら、世界に目を向けることのできる女性を育てることを使命としているのが特徴だ。
アディダススクールカテゴリーが採用されたのは、創立130周年を見据えた2015年のこと。体育着だけでなく、バックパック、体育館シューズ、ウィンドブレーカーまで、トータルで採用したメリットはどのようなものか。
また、伝統を大切にしながら時代の要請をバランス良く取り入れることに成功した要因は何かを、今回の取材で探っていく。
卒業生と今の生徒。
両方の気持ちに寄り添う選択を。
アディダスの体育着導入のいきさつについて、体育科主任の湯浅先生にお話をうかがった。リニューアル検討当時は、現在の校長である平林先生と湯浅先生が1年毎に体育科主任を担当されていたため、おふたりの二人三脚でのプロジェクトだったようだ。
アディダスというブランドを採用したことについては、「ミッション系の女子校だからこそ、グローバルなブランドが良かったと思います」とのこと。
135年前から英語教育を行い、日常的に讃美歌に親しみ、イタリア語、ドイツ語など様々な歌曲にも親しむ教育環境。グローバルな視点が日常にある学校だからこそ、グローバルブランドとの親和性が高いのだ。
また、「普通のメーカーなら、一度作った体育着の型をあまり変えないと思うんです。でも、アディダスは、女性がより動きやすくキレイに見えるようなウィメンズラインを作ったり、生地を変えたり、体育館シューズやバックパックまで、要望に応じた幅広いラインナップを備えている」と、アイテムに広がりがあるのもアディダスの魅力だとおっしゃった。
宮城学院で採用されたのは、紺色にサックスブルーのジャージを基本とする多種アイテムだが、この色の選定はかなりの冒険だったのでは?と思われた。
そもそも、数十年に渡り使用されていたジャージは、全身がスクールカラーのえんじ色。アディダスへのリニューアルに際しては、卒業生にとって思い入れのあるえんじ色を使用するかどうかは悩みどころだったが、今の生徒の好みについても考えたという。
「ADSSさんからサンプルをたくさん提案されましたが、紺色は落ち着いた色で、サックスブルーは生徒からも可愛いと言ってもらえる。組み合わせると上品だった」との理由で採用となった。
色の選択ひとつをとっても伝統校だからこその葛藤を垣間見たが、卒業生への思いやりと、今の生徒の気持ちに寄り添う姿勢。このふたつは対立するものではなく共存できるということを、今回の取材を通して強く思った。
時代を超えた存在感と親しみやすさ。
どの世代にも馴染むのがアディダスの強み。
アスリートから愛されるアディダスが体育着になったことについて、体育科のベテラン・菊田先生と、新卒で教員生活1年目の遠藤先生にお話をうかがった。
宮城学院では、クラブ活動でも体育着を使用していることが多い。
「以前の体育着は生地が薄く、摩擦で擦り切れてしまうこともありました。アディダスの体育着は生地がしっかりしている。だからこそ、動きやすさはどうなんだろう?と思っていました」と、器械体操班コーチを務める菊田先生はおっしゃった。
「新体操はどちらかというと薄着で動く競技ですが、生徒達はアディダスの体育着を平気で着続けて、問題なく動いている」とのこと。汗もすぐ乾くため、身体にまとわりつくこともないようだ。
陸上競技班コーチの遠藤先生は、「スリーストライプでタテのラインが強調されるので、年頃の女の子は嬉しいと思います。縦長のシルエットで、ダボッとしていないからスッキリ見えます」と、アディダスのデザイン面を評価された。
また、「ロゴを見なくてもスリーストライプでアディダスだとわかるのは、生徒たちにとっては誇らしいブランドなんだろうな」と目を細める。
さらに菊田先生は、全校生徒がアディダスを着て臨んだ初めての運動会の様子を思い出された。「生徒が勢ぞろいしたとき、今までの雰囲気とはガラッと変わった」。それは色の変化によるインパクトからだが、同時に「時代が変わったな」との感想も大きかった。
ご自身が初めてアディダスを着たのは大学2年生のとき、佐賀国体出場の際のチームユニフォームだ。白地に赤いスリーストライプのアディダスはアスリートの証だった。だからこそ、「今の生徒は、体育着でアディダスを着られるのね」と感慨深かったとおっしゃる。
一方で「今朝タンスを開けて確認するとアディダスが案外多くあった」という遠藤先生。お二人の対照的な言葉に取材陣が大いに盛り上がったことはいうまでもない。アディダスが時を超えて存在し続けていることを実感した瞬間だった。
トータルコーディネートが作り上げるのは
生徒同士の繋がりとビジュアルの統一感。
宮城学院は、アディダスのアイテムを徐々に増やしたのではなく、当初から多くのアイテムを採用している。ジャージ上下、半袖シャツ、ハーフパンツ、体育館シューズ。そして、ウィンドブレーカーとウィンドアップパンツ。以上がすべて指定商品であり、さらに任意商品としてバックパックがある。
「仙台の冬は寒い。ウィンドブレーカーが無かったとき、生徒たちは放っておくと適当なものを上に羽織ってしまう。当然動きにくいため、身体も動かさないまま寒い寒いと言っている。それは良くないので、思い切ってウィンドブレーカーも採用した」と湯浅先生。
生徒たちは、ウォームアップで身体を動かせるようになり、見た目にも統一感があると好評だ。
スポーツ大会のときには、その統一感が良い方に作用している。体育着には学年色を設けていないため、学年ごとにオリジナルのカラーTシャツを作成しているが、紺色とサックスブルーのアディダスという共通項があるからこそ、カラーTシャツが特別感を持って映えるのだ。しかも、学校としての統一感は損なわれず、生徒たちの絆は強まる。
アディダスでトータルコーディネートができることについて、先生方にうかがったところ、「オープンスクールでマネキンを見て、アディダスだ!と喜んでもらっている」、「部活動の遠征時にも体育着と伝えると驚かれる」とのこと。
生徒に聞いてみると、「全部がアディダスってかっこいい」「他の学校に自慢できる」という感想の他に、「卒業して着なくなったらお母さんにちょうだい、と言われた」という声もあった。
キリスト教を土台とした人間教育をもとに、
自由かつ謙虚に世界に目を向ける女性を育成します。
宮城学院はキリスト教を土台とした人間教育をもとに、「神を畏れ、自己と隣人を愛する」をスクールモットーとし、生徒一人ひとりの適正、興味に応じた学びを深める中高一貫教育を行っています。
私は、生徒には自由を経験させ、将来のキャリアにつなげてほしいという思いがあります。伝統的に宮城学院では、教師が作ったルールに生徒を従わせるやり方はしていません。例えば、いま、生徒たちは「スマホ使用の自由化」に向けて、生徒会執行部が中心となり、先生を説得するために動いています。
生徒会執行部とクラス委員が話し合い、全校生徒にアンケートをとり、その結果を集計・分析し、スマホ使用の自由化に向けての落としどころをみつける。
自分たちの主張を先生たちに認めてもらうために、論理的に相手を説得する方法も学んでいきますし、ルール作りの過程で、自由には責任が伴うことも体得するでしょう。
卒業生からは、「宮城学院には、言いたいことを臆せず口にできる土壌がある」「生徒のどんな夢でもちゃんと応援してくれる」という言葉をいただき、名だたる企業や分野で活躍している方も多くいます。
私は長く陸上競技にかかわっていますが、スポーツのジャンルを超えてアディダスは常に憧れのブランドでした。
スリーストライプのデザインはこれまで、その時代にあわせて変化を続けてきましたが、どのデザインでも「アディダス」としてのブランドを誇らしげに表してきました。
アディダスの体育着へのリニューアルは本校の創立130年を見すえたタイミングで行いました。体育が得意な生徒もいれば、運動することが苦手な生徒もいます。どんな生徒にも世界的なブランド「アディダス」を誇りにして欲しいと考えました。「アディダス」を体育着にできる学校に通っているという自負と謙虚さを持ち、世界に目を向ける女性になって欲しいと願っています。