松本秀峰中等教育学校

学校のブランディング戦略の一環として、
新設校がadidasの体操服を選んだ理由とは。
松本秀峰中等教育学校(以下 松本秀峰)が、長野県下初の中高一貫校として設立されたのは2010年のこと。
その年の4月に入学した1期生が、2016年3月に初の卒業生として母校から羽ばたいた。
adidasの体操服は設立時に導入され、昨年度の体育祭では、1年から6年までの全生徒がadidasを身につけた。
今回のレポートでは、なぜ新設校の体操服としてadidasが選ばれたのか、そのいきさつと、松本秀峰の教育方針とadidasブランドがどのように関連しているのかをお伝えする。

背中のマークに校名を英字表記し、
セカンダリースクールという言葉を広める。
adidas導入の経緯について、開校準備に携わっていた教頭の菱田先生にお話をうかがった。
体操服の選考にあたっては、5社ほどからプレゼンを受けたが、満場一致でadidasに決まった。その理由は、松本秀峰開校の意義にも繋がるものだった。
当時、中等教育学校は日本全国でも40校程度(*1)で、長野県では今でも松本秀峰が唯一となる。
「松本秀峰が育てるのは、 “Think Globally , Act Locally.”を体現できる人材。一方で、adidasは世界ブランドでありながら、子供たちにも馴染みが深い。世界と日本、世界と地元の架け橋となるリーダーの育成を目指す教育理念にもぴったりです」と力強い言葉をいただいた。
松本秀峰が選択したadidasは、落ち着いた濃紺に白色のラインが映える洗練されたデザイン。男女、学年を問わず同じデザインにすることで、学校としての統一感をはかった。さらに、学校のこだわりとして体操服の背面には大きくプリントした学校マークとともに、英字で「MATSUMOTO SHUHO SECONDARY SCHOOL」と明記した。
中等教育学校をあらわす『セカンダリースクール』という言葉を浸透させるためだ。「スマートな体操服にプリントされた「SECONDARY SCHOOL」という単語を見て、「なんだろう?」と関心が向かうはずだと思ったのです」。「オープンスクールの感想を聞くと、本校を目指す一番の動機は教育理念ですが、次の動機にadidasの体操服を着たいからという生徒もいるんですよ」と教えてくださった。
松本秀峰には、遠方から2時間かけて通学している生徒たちもいる。
セカンダリースクールとしての松本秀峰の存在は、長野県下全域に広く知られ、すでに高い目標となっているようだ。
(*1)現在は全国に52校(内訳:国立4/公立31/私立17)
出典:文部科学統計要覧(平成28年度版)



デザイン性の高いadidasの体操服だから、
校外でもひと目で生徒を認識できる。
adidasの体操服が実際に生徒からどのように受け入れられているのか、着任4年目の榎本先生にうかがった。
「まず、私自身がadidasに体操服があることに驚きました。デザイン性の高さから、生徒はもちろん、他校の先生方からもかっこいいと言われます。
また、速乾性にも優れているので、授業と部活動で1日2回、体操服を着る場合も問題なく着用しているようです」とのこと。
松本秀峰では、全校での統一感をはかるため部活動用のユニフォームはあえて作らず体操服の着用を指導しているが、それについての苦情は全くないようだ。adidasの体操服導入当初はジャージの上下と半袖Tシャツ、ウィンドブレーカーだったが、その後、長袖Tシャツとアイテムが増えていった。「夏場の日焼け対策として、ジャージの上着やウィンドブレーカーを着ている生徒がいたため、熱中症を心配していたところADSSから長袖Tシャツの提案をいただきました」。導入後、長袖Tシャツは春秋の中間着や冬場の防寒にも使えるため、生徒から重宝されているという。季節に応じた着こなしについては、「生徒たちの自主性にまかせている」ときっぱり。生徒への信頼感がうかがえた。
また、松本秀峰では生徒たちが体操服を着て校外へと出ていくことも多い。市内の総合体育館で行われるスポーツイベントの日には、松本駅から総合体育館まで体操服姿の生徒が道を連ねる。「校外でadidasの体操服を着ているとひと目で松本秀峰生だとわかりますから、その点でもいいと思います」。目立つからこそ、自分たちの行動に責任を持つ。adidasの体操服は、松本秀峰生としての誇りを育む一助となっているようだ。



想定されるさまざまな要望に対して、
adidasは期待以上の提案で応えてくれる。
松本秀峰では、体操服だけでなく周辺アイテムにもadidasが導入されている。2015年度から導入されたadidasのバックパックについて、事務長の大井先生にうかがった。「うちの生徒たちはとにかく荷物が多いんです」と、開口一番、やさしい笑顔でお話ししてくださった。
教材を学校に置いて帰る生徒がいないため、学校既定のオリジナルバッグだけでは足りず、追加のバッグが必要となる生徒が多かった。
自前のバッグを持参するが、バッグの色も形もさまざま。「統一された制服があるのに、持っているバッグがまちまちだとせっかくのイメージが損なわれます。そこで、以前、ADSSからご提案いただいていたバックパックの導入を検討し、他にも3社ほどからご提案をいただいたうえでadidasに決定しました」。
adidasのバックパックには、通学用ならではの工夫が随所に施されている。
教科書や小物を入れる仕切りが多く、お弁当箱専用の収納スペースも確保されている。また、耐久性に優れているうえに、校章は黒色の地にグレーの刺繍で品よく入れられているため、学校卒業後にも使いつづけることができる。
事務長の立場から保護者の声を直接聞くことも多い大井先生に、体操服をはじめとするadidasのアイテムに関してご意見をうかがったところ、「クレームを一切聞いたことがありません。これはすごいことだと思います」とのこと。ネットで直接注文でき、自宅まで配送される点も、保護者から喜ばれていると、うれしい評価をいただいた。


高学年ほどブランドの力を意識する。
生徒はadidasを着る意味を知っている。
長野県に初めてできた中等教育学校の体操服がadidasであることは、どういう意味を持つのかという質問に、副校長の髙栁先生の答えは明確だった。
「中高一貫の6年間の教育で、世界に通用する人材を育成する。山に囲まれた本県にあっては中等教育学校という新しい教育制度をとりいれるのは、まさに明治維新のようなもの。そして、新しい文化を取り入れるという点で、体操服にadidasを導入するのも同じこと。わが校をシンボリックに表現するものとしてadidasはぴったりの体操服だと思います」。adidasが世界的なブランドであり、デザインも性能も最先端でありながら、時代の流行りに流されることがない点を評価された上でのコメントだ。松本秀峰では、4年生になるとケンブリッジ大学での短期研修を実施する。「この研修で、生徒たちは重厚なケンブリッジの歴史的価値を知ることになる。そして今まさに自分たちが、ケンブリッジに通じるような松本秀峰の伝統を創っているんだと自覚します」。このように本物に触れる機会のある生徒たちだからこそ、adidasの持つ普遍的な価値も理解できると、髙栁先生は確信している。
「生徒たちは学年が上がるほどにブランドの力がわかるようになる。adidasを身につけることはひとつのステイタスであると。そのadidasが体操服であることは、学校への誇りにもなります」と力強い言葉をいただいた。松本秀峰のadidasは、落ち着いた紺色と白色の洗練されたデザイン。この体操服を日常身につけることによって、生徒たちにトラディショナルで普遍的なもの、揺るぎない本物を実感してほしいという、熱い思いを感じた。


13歳から18歳という大切な時期をともに過ごす。
松本秀峰は友情・知識・世界との出会いの場。
松本秀峰中等教育学校は、2010年、県内最初の中等教育学校として開校しました。
中学高校の6年間を、基礎期間(1・2年次)、充実期間(3・4・5年次)、発展期間(6年次)に分け、大学入試までを念頭に置いた柔軟なカリキュラム編成を取り入れています。2016年3月には初の卒業生がわが校から旅立って行きました。私は2016年4月から赴任したのですが、赴任前に節目の行事に参加し、学校の様子をこの目で確認させてもらいました。そこで、自主性・創造性に溢れる生徒たちの姿に触れ、驚きました。
4年生を目前にした生徒たちが主役の「立志式」では、一人ひとりが壇上に立ち、目を輝かせて自分の夢を発表する生徒たちを目の当たりに
したのです。「ああ、いい学校だな、いい生徒たちだな」と、思いました。
2016年4月の入学式で、私は谷川俊太郎さん作詞の校歌について話しました。
「山に登る ゆっくり登る 知識の山は高くけわしい 友だち同士助け合って 足元の花もみつめて 山に挑む 新しい地平めざして」
生徒たちには、校歌に歌われているように、夢を持って、一人ひとりが自分の頂を目指してほしいと思います。
わが校で過ごす1年生から6年生までの6年間といえば、13歳から18歳という子供から大人へと心身ともに大きく成長する時期です。だからこそ、生徒たちにはたくさんの「出会いの機会」を与えたい。先生との出会い、友達との出会い、知識との出会い、そしてグローバルな広い世界との出会いです。adidasという世界的なブランドとの出会いも、世界を視野に入れた生徒たちの将来に、大きな影響を与えてくれていると思います。


