優れた個性を自由に伸ばす。
九州屈指の名門と呼ばれる進学校。
久留米大学附設中学校・高等学校
久留米大学附設中学校・高等学校(以下、久留米大附設)の歴史は、1950年、男子校である附設高等学校の設立から始まる。
その後、中高一貫教育の開始、女子生徒の受け入れと時代の要請に応じながら、九州屈指の名門進学校として日本のみならず世界で活躍する人材を多く生み出している。東京大学合格者数(令和3年度36名)はもちろん、国公立大医学部合格者数(令和3年度95名)の多さも特徴だ。
久留米大附設では、2011年度からアディダス・スクールカテゴリーを導入し、2018年度、2021年度と、新モデル登場のタイミングでモデルチェンジをしてきた。
アディダスの体操服を導入した経緯はどのようなものだったのか。
また、九州屈指の有名進学校が10余年に渡りアディダスの体操服を選んでいる理由はどのようなものかをリポートする。
アディダスの体操服が誕生。
「それなら変えたい!」と迷いなし。
久留米大附設がアディダスの体操服を導入したのは2011年度のこと。当時から現在に至るまで、ADSSとの窓口を務めている辻田先生に導入のいきさつを伺った。
辻田先生によると、長い間同じデザインだった体操服は、時代と合わなくなっており、どこかのタイミングで体操服を変更したいと考えていたところに、ADSSから、「アディダスの体操服が誕生した」というお知らせが届いたそうだ。
「アディダスの体操服があるんだ。それなら変えたい!と。もちろん他社とも比べましたが僕の中ではアディダス一択。体操服というよりスポーツウェアのイメージがあったのがよかった。スポーツブランドが体操服を作る先駆け的な感じがありました」と、その選択に迷いはなかったようだ。
2011年度に採用したアディダススクールカテゴリーの08モデルを第一世代とすると、その後、2018年度に第二世代(ネクステージ)のハーフパンツを導入、2021年度に第三世代(ナラティブ)と、モデルチェンジしているが、「このままではいけない、という理由からでは全くない。体操服にも流行りがある。コストもあまり変わらないのであれば時代に合わせて変えてもいいじゃないか」と、きっぱり。
学校を代表して体操服の在り方を考えている辻田先生のこの考えには、柔軟性と決断力という言葉が似合う。ただし、赤・青・緑の学年色を活かすことにはこだわっている。
第一・第二世代ではスリーストライプをそれぞれの学年色で色分けし、第三世代では身頃の生地の切り替えに学年色を使い、スリーストライプは白色に統一した。「ラインを全学年白色にしたことで並んだ時に統一感があるね、と体育科でも話しています」とのこと。
第一世代、第二世代は女子生徒用にウィメンズシルエットを採用していたが、第三世代はユニセックスモデル。パンツの裾がスリムになるなど、身体のラインを美しく見せるシルエットで、スポーツウェアとしての存在感をより強くした。
取材当日、生徒さんから、「体操服がアディダスで、カッコよくて動きやすくてびっくりした。体操服までこんなに違うんだ!」と、公立小学校と久留米大附設中学校との違いに驚いたという話を聞いたとき、辻田先生の思いは生徒達にしっかりと届いていると感じた。
体操服を着たがらなかった生徒も
アディダスなら「着ない理由がない」。
アディダスの体操服を、生徒たちはどのように受け入れているのだろうか。体育科の先生おふたりにお話を伺った。
アディダス導入前の体操服もご存知だという鍋内先生によると、以前の体操服はいわゆる綿の厚手のジャージだったそうで、生徒たちはあまり着たがらなかったという。運動部の生徒たちは部活動のウェアを着ていたため、体育の授業中の服はバラバラの印象。
ところがアディダス導入後は「アディダスに変わってからは、着ない理由がない。いまは全員がアディダスを着ているから、統一性がある」とのこと。
生徒にとってアディダスを着て体育の授業を受けることが当たり前になっているという。一方、アディダス導入後に赴任した小倉先生は、「自分の学生時代の体操服を思い出すと、本当にかっこいい。今回のモデルチェンジにより、更にスタイリッシュになった」と目を細めた。
「色の切り替えのある位置もいい。色の面積が大きくなっているから明るくカラフル」と、学生が着る体操服として全体の印象にも注目している。
久留米大附設では、先にお伝えしたようにアディダスの体操服にも第一・第二・第三世代とモデルチェンジをしているため、生徒サイドではその違いが気になっているようだ。
「来春卒業する高3生は、体操服の買い替えをしないのが普通ですが、それでも今回は買い替えた生徒がいるんですよ。まわりからも『かっこいい、目立つね』と言われてますね」と鍋内先生。
ご自身が顧問を務めるサッカー部はクラブジャージを作っていないので、校外の試合会場へは体操服を着て移動する子もいるそうだが、「他の学校の生徒が見て『あ、アディダスのジャージだ』って言ってるのが聞こえます」とのこと。サッカーの世界ブランドとして圧倒的人気のアディダスを着ていること、しかもそのブランドを体操服として日常的に着ていることは、生徒にとって誇らしくあるようだ。
計算されたラインとデザインが
生徒たちを強化選手のように見せる。
久留米大附設の生徒たちは体育の授業にどのように取り組んでいるのだろうか。江田先生に伺ったところ、開口一番、「すごく楽しそうです!」とのこと。
生徒の様子を見ていると、上手い子が技術のない子にいろいろアドバイスをしているようで、運動が苦手でも、体育をやりたくないという生徒は基本的にいないそうだ。「生徒たちは仲良しで、お互いを認め合っている感じです」と、和気あいあいとした授業風景が伝わってきた。
体操服が第二世代から第三世代へモデルチェンジした際には、「身体のラインが変わったと、ひと目でわかりました。シュッとスマートに見えて、生徒たちがどこかの強化選手みたいに思えました」と絶賛。
実際、以前に比べてズボンの裾が締まり、スレンダータイプとなったことがよりスタイルをよく見せる秘密であることをお伝えすると、「どうりでかっこいい!最高じゃないですか。私も普通に着たいです。」と納得の様子。
ファスナーの色が紺色ではなく白色で、ポイントカラーとなっている点もお気に入りという。
「夏でも紫外線を気にして長ズボンの生徒がいますが、暑い中、平気で着ているということは、通気性もいいんだと思います」と、機能面についても評価された。夏用の半袖シャツについては、以前は白色だったが、いまは紺色ベースでジャケットと同じ位置で学年色に切り替えられている。
「白色の半袖シャツは透ける問題がありました。生徒は気にしていなくても、見ているこちらが気になることもありますから。紺色と学年色のツートンカラーになって、この問題は解消されました」と、この点でも大満足のようだった。
品格と熱意を持って
才能に溢れた生徒たちを導く。
福岡県南部の久留米という中核都市に位置する本学は、東京や福岡など大都市の持つ喧噪や誘惑から適度に離れた環境にあるため、生徒たちが勉学に集中でき、大学進学のための教育を学校内で完結できるのが強みです。
私自身、附設中学の第一期生でしたが、先生たちが「君のために頑張る!」と心から大切に遇してくださったことに強い感銘を受けたことを今でも覚えています。
あれから48年後の2017年。母校に戻った時は共学校となっていましたが、男女にかかわらず、「自由にやりなさい」という校風は変わっていませんでした。
「自由にする」とは、生徒が自身の行動に責任を持つということですが、忘れてはいけないのは、「学校にいるのは未熟であるから」という前提。
生徒は自分の行動のすべてに責任を負う立場にはないからこそ、教育を受けているのです。
「好きに勉強しろ」と言われたら嫌いな科目はしないでしょう。ですから、勉強せねばならない科目は勉強させますし、勉強方法が悪ければ指導し、成績が上がらなければ補習をします。彼らが大人になったときに、真に自由であることを目標にするために、いまは学校が責任を持って生徒が伸び伸びと過ごせるよう指導している。
そういう意味での自由です。
いま、生徒たちはアディダスの体操服を着ています。私自身はアディダスのウェアを着たことがありませんが、世界ブランドであることはよく知っています。本学は女子生徒が4割弱を占めますが、現在採用しているデザインはユニセックスという男女が同じもの。男女差を意識しないユニセックスのモデルを導入したのは、世界的に見ても時代の自然な流れだと思います。
運動場から聞こえる生徒たちの歓声から、体育を楽しんでいることがよくわかります。
私に気づくと「あ、校長先生だ!」と手を振ってくれる様子はかわいらしいですよ。
受験を乗り切るための基礎体力をつけるためにも、身体を鍛えるのは大事なことですから、勉強と体育は切り離せません。根を詰めて勉強する合間の体育は気分転換にもなります。
身体を鍛えるのは一生を通して大事なこと。楽しく取り組んでいるのはなによりだと思います。