中央大学杉並高等学校

「かっこいい体操服を着たい」。生徒の気持ちを一番に考えたリニューアル。

中央大学杉並高等学校は、中央大学への進学率が毎年90%を超える文武両道の男女共学校として、「中杉ブランド」を確立している名門校だ。その中杉が、20年ぶりに体操服をリニューアルし、内外から大きな評価を得ている。
リニューアルの構想がスタートしたのは2008年のこと。体育科の後藤先生は、主任となった際、「生徒のために自分ができることは何か」と考えた。生徒の声をヒアリングして多く聞かれたのは「もっとかっこいい体操服を着たい」という声。確かに、体育の時間以外で体操服を着用する生徒はほとんどいなかった。
「中杉に通っていること」に誇りを持ち、毎日をイキイキと過ごしている生徒たちが、体操服の着用にだけは尻込みをしている。この状況をなんとかしなければと、思い立ったのが「体操服の改革」だった。自分自身もバスケの選手として、ユニフォームに思い入れがあった後藤先生は、かっこいい体操服を求める生徒の気持ちがよくわかったのだろう。
当時憧れていたブランドの靴を初めて下ろした日のワクワク感は、自分のモチベーションを高めてくれた。それは、生徒たちが体操服を着る時も同じじゃないかと。
「かっこ悪い体操服は着たくない。かっこいいほうがやる気がでる!」。
体操服のリニューアルにあたっては、この生徒の気持が一番に考えられた。
揺るがない世界ブランド=adidasの3本線は、10年後もスタンダードな体操服だ。

後藤先生が体操服リニューアルを思い立ったと同時期に、adidasから提案があった。adidasは世界ブランドとして、誰もが知るブランド。デザイン面だけでなく、機能性にも問題ないことはわかっていたため、他社ブランドとの比較は考えなかったという。
「adidasのデザインには『3本線』という一貫性がある。そこが他社のブランドにはないadidasならではの特徴」と後藤先生は強調する。
どのブランドでもデザインは年度ごとにチェンジするのが普通で、今新しいデザインも、数年後には古くさくなる。しかし、「adidasの3本線」は時代を経ても変わらない。adidasなら、10年後も変わらず『かっこいい体操服』と言われることは間違いないとの確信があったのだ。
一方、機能面についてはどうだろうか。体育科の玉田先生は、「ポリエステル素材は、汗をかいても肌にくっつかずサラサラであること、透けないので女子生徒も気にせず運動に集中できる点」を、山田先生は、「洗濯をしてもすぐに乾く速乾性」を評価する。清潔感を大切にする生徒と、洗濯をする保護者からの評判も上々だ。見た目のスタイリッシュさと、着心地、使い勝手、すべてが想像以上である体操服の登場は、中杉全体に、大きなプラス効果をもたらしているようだ。

中央大学のアリーナで開催される体育祭には、生徒みんなが自宅からadidasを着て集合した。

2013年9月。中央大学の第一体育館アリーナで、第50回体育祭が決行された。
綱引き、大縄跳び、棒倒し、全員リレーなど、約5時間に渡り本格的な対抗戦が繰り広げられるのだ。adidasの体操服を導入してからの変化を体育科の石川先生にお伺いしたところ、一番大きな変化は、生徒の行動にあったようだ。
以前は、ほとんどの生徒が制服で来ていたが、adidasに変わってからはほぼ全員が自宅から体操服でやって来るようになったのだ。
adidasなら都内の電車内でも、戸外でも、胸を張って堂々と着られる。中杉ブランドに見合ったadidasブランドを着こなす誇りを、生徒は身をもって実感しているのだろう。
生徒の満足度が明らかにわかるエピソードだ。
adidasで埋め尽くされたアリーナは圧倒的な一体感と熱気に包まれていた。


体育祭では学年を越えて、「青・白・黄・赤」の4チームに分かれて競う。
以前の体操服は「赤・青・緑」の学年色を全身で表していたうえに、チームカラーの鉢巻きを着用していたので、全体で見た時の色のバラバラ感は否めず、現実的にチームを認識することも困難だった。adidasの体操服になってからは、全学年のベースカラーが濃紺のため、全生徒が一体感を保ちつつ、鉢巻きのチームカラーが目立つという効果もあったようだ。
学年を超えて生徒が一致団結するこの一大イベントで、adidasの体操服は、中杉生の「一体感」を体現していたといえるだろう。
体育科の櫻井先生は、一体感のさらに先を行く効果をadidasの体操服に見い出している。
それは、「中杉への帰属意識=愛校心」。その秘密は胸元に輝くCマークにあった。

中杉の体操服の左上には、中央大学の「Cマーク」が入っている。それは、中央大学の附属高校に通う、すなわち、中央大学へ進学する誇りを表している。さらに、実用的な側面からも、中央大学進学後も、中杉の体操服をそのまま着用できるという大きな利点がある。
adidasの体操服導入後、初の卒業生となり、現在中央大学に通う鎌田さんによると、同期の中杉OBは、ほぼ全員が高校時代の体操服を引き続き愛用しているという。本人自身もadidasのデザインを気に入っているため、体育の時間だけでなく、普段着でも活用しているとか。
中杉時代はみんなで修学旅行にも持って行った。もうひとりのOBである田部井さんは、現在ラクロス部に所属しているため、月に20回は中杉時代からのadidasを着用している。自分たちのひとつ上の学年までは旧体操服だったので、「先輩たちには申し訳ないが自分たちの体操服ってかっこいい!と思っていたそうだ。OBふたりに共通していたのは、中杉在学中は、体操服に「Cマーク」がついていることについて、深く考えていなかったが、中大生となった今になり「なるほど!」と思ったこと。それはまるで、中杉からのサプライズプレゼントのようだったと。
中杉生は中大生となって引き続きadidasを着るとき、自分が中杉生であったことを再確認する。実際に、部活の後輩を指導するために中杉を訪れるOBの多くが、adidas姿でやって来るというのも愛校心あってこそ。adidasの三本線と中央大学のCマークのコラボレーションには、見た目のかっこよさだけでなく、このような愛校心を生み出す効果もあったのだ。
「外に飛び出していけるかっこいい体操服を!」。その思いから生まれた中杉のadidasは、在校生からもOBからも強く支持されている。
この先10年、20年と、変わらぬかっこいい体操服であり続けることは間違いないだろう。
仲間と力を合わせて、自ら未来を創りあげる。adidasの体操服を着て、中杉精神を体得してほしい
私は体育教師として中杉に赴任し、現在、副校長を務めていますが、今でも体育の授業を受け持ち、男子バレー部の顧問として日々生徒と接しています。私自身、体操競技の選手として仲間たちと苦楽をともにしてきた経験がありますが、その経験からも、運動を通じて培ってきたチームワーク、共に競い合い、助け合う「共育と共創」の精神は、高校生活すべてに生かすことができると思っています。人生は思うようにいくことばかりではないですよね。
日常生活、クラス活動、部活動、さまざまな行事。いろんな場面で、他者とぶつかり合うこともあるでしょう。そんなときも、困難から逃げることなく、立ち向かい、解決する力を持ってほしい。
生徒に望むのは「仲間を大切にする意識、親切、やさしさ、強さ」。特に一致団結して物事に取り組み、達成したときの感動を忘れないでほしいと思います。体操服をリニューアルして、在校生だけでなく、卒業生、保護者の方からも好意的な意見をいただいています。
胸元の「Cマーク」は、中央大学のマーク。このマークを中杉在校中から意識することは、中央大学へと続く未来への希望だけでなく、中央大学への進学後は、「中杉時代からの体操服だ」と思い返すことができるはずです。これからも、中杉生としての誇りを胸に、明るい未来へと進んでくれることを確信しています。

児玉先生が中心となり考案された「中杉体操」は、準備体操として10年来定着している。

中央大学杉並高等学校
2013年に創立50周年を迎えた中央大学杉並高等学校は、都内の閑静な住宅街の中にある。恵まれた学習環境と、中央大学の附属高校として、中央大学への進学率は毎年90%を超える。文武両道としても名高い男女共学校である。世間の高校生が大学受験対策に追われている時間を、自分で「考える教育」にあてることができるのが強みだ。高校にいながらにして、中央大学の講師陣の講義を受けることもでき、高校時代の履修単位を大学で適用できるなど、大学進学後のメリットもある。

中杉には、親子で通っている例が少なくない。それは親子の信頼関係と、母校への誇りの両方が揃っているからこそのエピソードだ。ブランド校に相応しい体操服とは、在校生をイキイキと、やる気いっぱいにするだけでなく、卒業生の胸に強く刻まれた誇りを体現するモノでなければならない。その期待にプラスαの効果で答えた体操服がadidasだった。今回はadidasブランドのさらなる可能性を感じた取材だった。