学園に新しい歴史を刻む。
アディダスの3ストライプス。

千葉日本大学第一高等学校・第一中学校・第一小学校

守るべきものと変わるもの。
伝統の中に新しい風が吹いている。

100年を超える歴史を持つ日本大学最初の付属校である日本大学第一学園。
昨年、創立50周年を迎えた千葉日本大学第一中学校・第一高等学校と、創立30周年を迎えた千葉日本大学第一小学校は、同じ敷地内に隣接している。

「絆を重んじ、良き生活習慣をもった次世代人の育成」という教育理念を持ち、個々の適性を伸ばすことを大切にした教育方針が支持され、県下有数の人気校として名が高い。また、保護者・教員にも日本大学や同校の卒業生も多く、同窓生たちから愛校心を持って学校の動向は注目されている。

今回は、小学校に導入されたアディダスの体操服に関する初のレポートであり、また、小学校・中学校・高校をまとめて紹介するのも初めてとなる。このレポートで、伝統ある学校だからこその守るべきものと、伝統をより輝かせるための新しい風を感じていただきたい。

REPORT.1千葉日本大学第一中学校・第一高等学校

人工芝のグラウンドに映える
白い身ごろに学年色の3ストライプス。

創立以来50年にわたり日本大学ゆかりの赤い体操服を使用し、「千葉日大と言えば赤ジャージ」と言われてきた学校がアディダスの体操服にリニューアルした。歴史的変革ともいえるが、アディダスの体操服に対する生徒たちの反応はどうだったか。

導入前後、生徒の様子を見てきた体育科主任の児玉先生にうかがった。
「体操服の移行期に在学していて、アディダスの体操服を着られなかった生徒たちがいます。彼らは後輩たちをみて口々に『いいなぁ』と言ってましたね。

一方で、今の生徒たちはこの体操服が当たり前になっています。でも、公立中学から上がってきた生徒たちは違いを感じていると思います」とのこと。

確かに、公立中学から入学した女子生徒たちに話を聞くと、「体操服がアディダスで、うれしかった。中学のジャージとは全然違って、デザインも可愛い」「他の学校にはあまりない気がする」と、アディダスの体操服の着用を素直に喜んでいるようだ。児玉先生はまた、ご自身もアスリートとしてアディダスの体操服の機能性にも注目されている。

「生徒を見ていると、顔は汗がダラダラなのに体操服は湿った感じがしない。体に張りつかないから動きやすいと思う」と言われた。実際、グラウンドでバスケのドリブルシュートに熱中していた生徒たちに尋ねたところ、「汗をかいてもサラサラで、動きやすい」「自分の実力を発揮できる気がする」という声が聞こえた。
彼らが体操服に求める機能は、競技用ウェアと遜色ないものなのだと思わされた。

生徒による投票でアディダスの圧勝。
誇りを持ってスマートに着こなす生徒たち。

アディダス導入の経緯を、当時体育科主任だった久岡先生にお伺いした。
「以前の体操服は学年共通だったため、指導上、学年の見分けがつきにくかった。素材的にも汗をかくと重くなる。また、校名プリントが中学校と高等学校で違っていたため、同じデザインであっても3年で買い換える必要があった。そのため以前から体操服のリニューアルを考えてはいたが、そのタイミングがなかったという。しかし、大きなきっかけとなったのが、グラウンドが人工芝になることだった。

体操服のリニューアルにあたっては3社から提案を受けた。「マネキンに着せた体操服を1週間ほど展示し、当時の中学3年生、約250名に投票してもらいました。結果はアディダスの圧勝。『生徒の気持ちが一番』とアディダスが採用されました」。

採用が決まったのは、ジャケットの白に、学年色で色分けされた赤・青・緑の3ストライプスのデザイン。白色=汚れが目立つ、という心配はなかったのだろうか。「白い体操服にはそういった懸念の声も聞かれますが、砂埃の立たない人工芝なので大丈夫です」とのこと。「アディダスになってから、生徒たちが体操服を大切に扱うようになりました」。

最初に着用した学年には、「誇りを持って着てもらいたい」との思いからフルオープンのジャージは全部閉めるか、開けても胸元にあるマークの下までと徹底したそうだが、それを嫌がる生徒はいなかった。導入から4年、いまは厳しく指導せずとも、生徒たちはスマートにアディダスを着こなしている

アディダスの体操服に衝撃を受けたのは
生徒たちよりも保護者かもしれない。

アディダス導入後の販売方式の変化、また入試広報への影響について事務長の山﨑先生に伺った。
販売にあたってはADSSが採用しているダイレクトコミュニケーション(直販)になったのだが、「長い歴史の中で初めてのことですが、今のところ不都合な点はありません。むしろ、保護者の方からの質問・要望に対して、学校側が『聞いておきます』と言わなくてよくなった」と、ADSSから保護者に対して専門性のあるクイックレスポンスができることを利点としてあげられた。

また、入試広報に関しては、「説明会では制服と体操服を一緒に展示していますが、体操服を見て『え~アディダスなの?』と多くの方が立ち止まります。世代的にスポーツウェアに慣れている学生よりも、むしろ保護者の方が熱心に見ていらっしゃいますね」とのこと。保護者自身がOBであったり、兄弟姉妹でこどもを通わせている場合も多く、赤ジャージになじみのある方ほど衝撃も大きいようだ。

「羨ましいという気持ちと、少し寂しいという気持ちがあるようです」とおっしゃる。「男子の詰め襟を変える予定はない。本校はその伝統を守っていきます。しかし、学園全体として新しくしていこうという気持ちがどこかに表れているんでしょう。実際、体操服ひとつとっても、明るくなったと言ってもらえている。50年使ってきた校舎もアイボリーを基調として改築し、ますます明るいイメージになりました」と、大きな笑顔でお話された。

大切にしたいのは生徒の自主性。
一人ひとりの輝きが全体の輝きとなる。

千葉日大一中・一高は、日本大学の「自主創造」という精神の上に「真・健・和」という理念を持っています。

まず自分のことは自分で行動できるように基本的な生活習慣を身につけるのが第一。勉強するのもやらされるのではなく、自分でやる必要性を考えてやるべきことをきちんとやるように指導しています。そして、勉強も大事だけれど、生徒会活動、ボランティア活動など、学校を活性化する行動も大切です。「自分で考え、自分で判断し、自分で表現する」。中高の6年間でみっちりとこの土台作りができれば、大学に進学し、社会人となる残りの長い人生できちんと輝けると思っています。

実は私自身が本校の卒業生で、「赤ジャージ」を最初に着用した学年ですので、リニューアルが決まったときは、「変わるのか」と感慨深いものがありました。生徒たちは、「世界的なブランドのかっこいい体操服を着ているんだ」と誇らしく思っているようです。昨年、中高6学年全員がアディダスで揃い、体育祭で1,800人が人工芝のグラウンドで一同に介した様子を見たときには、学校全体の一体感を強く感じることができました。これから時間をかけて千葉日大一中・一高とアディダスのイメージは定着していくことでしょう。

私の指導の根底には、生徒、保護者の方、ひいては教員みんなに学校を好きになってもらいたいという気持ちがあります。自主的に一人ひとりが輝く学校で青春の日々を過ごす中で、自然と「愛校心」を持ってもらえたらいいと思っています。

REPORT.2千葉日本大学第一小学校

登校後は体操服に着替えて過ごす。
アディダスでのびのびスクールライフ。

千葉日大一小では、登校後に制服から体操服に着替え、授業後は制服に着替えて下校する。つまり、朝8時半頃から下校時まで、1日のほぼ3分の1を体操服で過ごす。児童にとって体操服とは体育の授業だけに着るものではなく、まさに日常着であるのだ。30年間使用してきた体操服は、いわゆる白の体操服。この体操服をリニューアルする必要性は何だったのか。

教頭の寺山先生によると、「一番の理由は親御さんの願いです」とのこと。学校では、年度末に教員・保護者を対象に『学校評価』をペーパーで集めているが、そこには毎年、保護者から体操服に関する要望が多くあったそうだ。「休み時間の様子をみてください。うちの児童たちは元気がいいですよ。ギラギラ太陽が暑い日も北風の吹く寒い日にも力いっぱい遊びまわっていますから」。そういって目を細めた。「日常着として長い時間身に着けるものだから、丈夫であってほしいし、着やすくあってほしいと考えていました」。

実は小学生用の体操服は、先にレポートした中高生用の体操服とは違い、ポリエステル95%、綿5%となっているため、吸汗速乾性と肌触りの良さを両立している。採用された体操服は濃紺に赤色の3ストライプス。男女とも同じデザイン。中高生のジャージとは違い、プルオーバーのトレーナータイプだ。

「ジッパーは低学年の児童が着るのが難しいので、このように頭からかぶれるのがいいですね。衿があるのでおしゃれで落ち着いた雰囲気だと思います。保護者の皆様にも満足していただいていると思います」と力強く答えてくれた。

創立30周年のタイミングが
大胆なリニューアルを後押しした。

体操服のリニューアルについて当時の様子をよくご存知の大野先生に話をうかがった。

千葉日大一小は設立当時男子校で、体操服は白の上下。途中から女子も入学することになり、女子は白の上着に赤のパンツというスタイルになった。「白い体操服は汚れやすいと保護者の方からのご意見をいただいていました。図画工作、書道の時についた汚れは特に目立っていたので、『いつか変えたい』と思っていましたが、リニューアルはすぐにできるものではないので時期を待っていました。

そして、創立30周年という節目を『これがチャンス!』と」。当時を思い出して大野先生の目が輝いた。この時、体操服だけでなく制服のリニューアルの検討も始まったのだが、「制服は学校の顔なので大幅なリニューアルはできない。でも、体操服は思い切って変えよう!ということになりました」。

入試広報の点から考えると、広告ツールへの掲載を見据えて最低でも2年半前には決めないといけない。体操服リニューアルについては、体育科だけでなく、児童指導部、養護教員も加わった実行委員会が発足された。

時期を同じくして、隣接する千葉日大一中・一高が創立50周年のタイミングで体操服にアディダスを採用するという情報が入ってきたため、アディダスも加えての検討が始まった。「アディダスになった決め手は、スポーツメーカーとしての機能性とブランド力が高いという点でした」。デザインは違うものの、体操服の背中には中学高校と同じマークがプリントされた。これは両校創立以来初めてのこと。今回のリニューアルで、日本大学の付属校として、「学園の連帯感」もひとつのキーワードになったようだ。

小学生の着用を前提に設計された体操服。
アディダスは小学生にもやさしい。

導入から3年経った今、アディダスの体操服を着ているのは1~3年生まで。先生の視点でアディダスの体操服がどのような評価を得ているか、体育主任の大塚先生にうかがった。

「白の体操服では上着をインして着るよう指導をしていますが、アディダスについてはアウトで着てもだらしなく見えないので、個々にまかせています」という。実はアディダスの体操服は、アウトで着られる設計となっており、腕をあげてもお腹がでない身丈の長さ。デザイン的にも脇に色の切り替えがあるのでダボッと見えないのだ。

「日常着として着るので、児童にはハンカチとティッシュを常に持ち歩いてほしい。アディダスの体操服にはポケットが2つあるのでその点でもありがたいですね。高学年になると太ももが気になる生徒も出始めるので、ハーフパンツになったこともいいと思います」ということだ。

最後に大塚先生は、体操服の移行期ならではのエピソードを話してくれた。「私は運動会を仕切るとき、朝礼台に立って全校児童を見渡します。真ん中に1年生。左右に赤組、白組が2年、3年、と並ぶんですが、今はちょうど真ん中の1.2.3年生が紺、両脇の4.5.6年生が白と半分になっています。白から紺が増えていく様子を見るのが毎年楽しみなんです」。

3年後にはグランド全体がアディダスの体操服になる。さぞかし圧巻であろうと話を聞くこちらまでワクワクした。

楽しく学ぶ環境をつくることで、
こどもたちは自ら動き輝きはじめる。

千葉日大一小で特に大切にしているのは、挨拶・マナー・整理整頓・5分前行動の4つです。小学校の6年間でこの4つを身につけることができれば、自律して勉強に取り組むこどもになるでしょう。具体的には小学校1年生から、学年×10分を目安に「自学」をおこなっています。

1年生は10分、2年生は20分というように、読書でも計算でも運動でもなんでもいいので、それぞれが好きなことに取り組み、その結果を「自学ノート」に書き記しています。このような積み重ねが習慣を作り、先の人生の役に立つはずです。私は生徒に接するとき、1年生だから、6年生だからという差を感じません。人間としてその子自身と向き合っているつもりです。「心の綱引き」と言って良いかもしれません。1年生と6年生が実際に綱引きをすると6年生が強いですが、「心の綱引き」で年齢は関係ありません。

教師と生徒の間もそうです。生徒にも大人の意図はわかるし、教師たちも生徒から学ぶことがある。アディダスの体操服は、私自身も「着たいな」という気持ちになります。生徒は制服で登下校していますが、アディダスの体操服に着替えたらきっと「舞台のステージにあがる感覚」になって心が躍っているのではと思います。動きやすいからもっと動きたくなる。遊びたくなる。こどもはロープが一本あれば遊びを考えるし、ラインを引けばルールを作って遊びだす。「しないといけない」と教師が押しつけることをしなくても、自発的に動ける。私たち教員は、これからも生徒が楽しく学び、遊ぶことができる環境を作っていきたいと思います。